8chHDDレコーダーRoland VSR880の改造
2011年3月20日追記
マルチマイク録音をするために8chのHDDレコーダーを探していた処、
このRoland VSR880を2台入手しました。
8chのアナログ入出力端子とコアキシャル・オプティカルのデジタル入出力端子、
Roland独自のRBUS端子があります。
SCSI端子にCD-RWを取り付けてオーディオCDを作成する事も出来ます。
信号記録には2.5インチのPC用HDDが専用ブラケットに固定されていますが、
専用ブラケットが前面より簡単に交換出来る設計になっています。
前面右下の黒いフタを外すと交換出来ます。
最高32GBまで使用出来ます。
サンプリング周波数は48K/44k/32kです。
A/D・D/Aコンバーターは旭化成のAK4524という24bit96KHzのAudioCODECを
4個使用してます。
http://www.asahi-kasei.co.jp/akm/japanese/product/ak4524/ak4524_f03j.pdf
下の画像の黒い線の内側です。
現在の基準からいうと決してS/Nが良いとはいえませんが。
このAK4524の電源電圧は+5Vですが、
デジタル用+5V電源から専用スイッチング電源で+8Vを作り出し、
各AK4524毎に専用の+5V定電圧電源を供給するという設計です。
さすがプロ用という設計です。
電源回路はスイッチングレギュレーター式で、
アナログ回路用のプラスマイナス15V,
デジタル回路及びHDDドライブ用の+5V電源になっています。
2台購入したので1台を改造してみました。
まずアナログ電源を内部のスイッチングレギュレーターから外部に別電源を製作して供給するようにしました。
電源トランスはRコアの150VA,電源コンデンサーは12万μF!を2本使用しました。
只、余りにコンデンサーの容量が大きく整流ダイオードの破壊や電源トランスの断線を起こす可能性があるので
遅延リレーを入れて突入電流を減少させています。
いつものように定電圧電源を3段直列に入れています。
スイッチングレギュレーター電源の上に銅板を敷き、アナログ回路用定電圧電源を入れています。
アナログ回路のオペアンプNE5532はOPA2604に、
μPC4570はOPA2132に交換しました。
NE5532はDIP8Pなので簡単に交換出来ましたが、
μPC4570は一段小さいSOP8Pなのでハンダ付けには注意しました。
他の汎用論理ICはHCタイプからより高速のACタイプに交換してジッターを減らしています。
なぜジッター(周波数の揺れ)が減るのでしょうか?(笑)
マスタークロック周波数が50MHzなので三田電波にて特注した
温度変化による周波数ドリフトが2.5ppm以下の高精度発振器(矩形波出力)に交換して直付けにしました。
メカ制御用の20MHzのクロックも同様な
温度変化による周波数ドリフトが1ppm以下の高精度発振器(矩形波出力)に交換して直付けにしました。
これならアースループによるジッターはありません。
そして各々別の独立電源回路から電源を供給しています。
低周波ジッターは電源回路の性能により左右されます。
この分野はアナログ回路の電源回路も同様ですので
当方の得意分野です。(笑)
今頃になって何を騒いでいるのかなと思っています。
その結果、音の滲みが減ってより遠近感や空間表現が出るようになり、低い音量での表現が綺麗になりました。
又、ハイレベルの音量での混変調も減少し、よりグレードの高い音になりました。
元々は両方とも温度変化による周波数ドリフトが100ppm程度の発振子しか付いていませんし、
規定の周波数への微調整も出来ません。
(長時間使用していると内部は相当温度が上昇します)
発振子ですから発振回路の出力は正弦波です。
所詮プロ用といってもこの程度のものしか使用されていないです。
そして発振回路が他の素子と共通の電源から供給されているので
負荷変動により電源電圧も変動して周波数の変動(ジッタ−)が発生します。
(最新の高級SACDプレーヤーは独立した電源回路を使用した発振器を使用しています)
これは発振波形がsin波であるので電源電圧の変動によるジッターの発生が大きいです。
なぜかはお考え下さい。
他の高級機器でもこの程度ですから外部ワードクロックを取り付けると
音が激変してよくなりますが、上記の物と比較すると良くても同程度です。
追記
このVSR−880は古い機器なので外部ワードクロック入力端子がありません。
但しマスタークロックとメカ制御クロックを高精度発振器(矩形波出力)にして供給電源を高度に安定化させてあるので
わざわざ外部クロックを入れる必要は全くないですね。(笑)
残念ながら外部クロックのみではメカ制御クロックの高精度化は出来ない!ので
明らかに音の滲みが残りますよ。
これはCDプレーヤーでも同様で、
CDからの信号の読み取り復調用メカニズム制御LSIのクロックを
高精度発振器(矩形波出力)にしないとジッターは減りません。(笑)
この辺は技術の無い方では全く出来ない範囲ですね。
そこまでメーカーと販売店は追求していないです。
2010/03/12
最近パイオニアTADのディスクプレーヤー TAD−D600 も
当方のチューンとおなじく
メカニズムとマスタークロックに
高精度発振器(矩形波出力)を取り付けるようになりました。
当方の技術の高さを裏付ける事柄です。
2006年末にもう1台入手しました。
同じ仕様の外部電源をもう1台製作し、汎用の論理ICは全て高速型のACタイプに交換しました。
クロックも同様にマスタークロックの50MHzとメカ制御用の20MHzを高精度発振器に変更しました。
A/D変換部分のアナログ回路のNE5532とμPC4570は、
両方ともOPA627AP(スルーレート55V/μs)を2個取り付けた特製OPアンプ基板と交換しました。
音質はより高速なOPICなので静かで優しい音になりました。
この出来上がった3台目のVSR880を今までの機器と交換して
今までの機器のアナログICをまた交換してみました。
今まではNE5532をOPA2604にしていましたが、
AD826(スルーレート350V/μs)に交換しました。
(最近はもっと高速のものに変更しました)
さらにμPC4570からOPA2132としていましたが、
THS4062(スルーレート400V/μs)にしました。
録音してみると全体に柔らかいより遠近感のある音となりました。
特に楽器の響きとホールやスタジオの響きが融和しながら分離して聞こえます。
このアナログICは決してS/Nは良くないので、
音のスピードを求める場合にはAD826を使用したVSR−880 @
S/Nを求める場合にはOPA627APを使用したVSR−880 A
Back up用の無改造のノーマルVSR−880 B
以上を分けて使用しています。
最近
ヘッドフォンアンプ回路は電流変動が大きく、他の回路まで悪影響するので
別電源の定電圧回路を設けて電源を供給するようにしました。
これにより明らかに音の鮮明度が増してダイナミックレンジが広くなりました。
2011年3月20日
VSR−880 @
のアナログICを全てLM6172に交換しました。
内部のアナログ回路用定電圧電源回路も
より高速化しました。
これにより怖い程に音の立ち上がり下がりが速くなり
音と音場が静かになりました。
パーカッションの強打が連続しても平気ですし、
その間でも空間の大きさが判別出来ます。
吹奏楽にて複数の楽器が同時に演奏しても
各楽器の音や位置が分離して判別出来ます。