ベリンガー DEQ2496の改造



ドイツ ベリンガー社のプロ用デジタルプロセッサーです。
機能と比較して安価な製品ですが、
電源以外の機能や基本設計は確かですので、
改造をしてみました。

96KHz24ビットのA/D・D/Aコンバーターと、リアルタイムアナライザー、
測定用マイクを用いて周波数特性の表示や補正等、色々な機能があります。
詳細はメーカーのHPを御覧下さい。
http://www.behringer.com/DEQ2496/index.cfm?lang=JPN




内部は左側にプロセッサーとA/D・D/Aコンバーターがあり、
右側に電源があります。



背面は左側より電源のインレット、3つのMIDI端子、WordClockのインプット、
S/PDIFのイン・アウト、AES/EBUのイン・アウト、アナログのAUX(TRS)のアウト端子、
リアルタイムアナライザー用のマイクイン端子、
3ピンのXLRのイン・アウト端子です。



プロセッサー基板には旭化成のA/D・D/Aコンバータ−他のICが使用されています。

1.
まずA/Dコンバーターは96KHz24ビットのAK5393が使用されています。
http://www.asahi-kasei.co.jp/akm/japanese/product/ak5393/ak5393_f04j.pdf#search='AK5393'

2.
D/Aコンバーターには96KHz24ビットのAK4393が使用されています。
http://www.asahi-kasei.co.jp/akm/japanese/product/ak4393/akd4393j.pdf

3.
S/PDIFには192KHz24ビットデジタルオーディオインターフェイスの
  AK4114が使用されています。
http://www.asahi-kasei.co.jp/akm/japanese/product/ak4114/ak4114_f04j.pdf

4.
リアルタイムアナライザーとAUX端子用に96KHz24ビットA/D・D/Aコンバーターの
  AK4524が使用されています。
http://www.asahi-kasei.co.jp/akm/japanese/product/ak4524/ak4524_f03j.pdf

もう発売されて5年程経過した製品ですが、
録音時のレベルの監視やノイズ等の周波数のチェックに重宝します。



ある方にこの機器をD/Aコンバーターとしてお勧めし、電源部他の強化をしました。




DEQ2496と同じ幅のシャーシとした結果、結構大きいシャーシになりましたが、
内部の取り回しは楽です。




アナログ電源を別電源とし、
S/PDIFがオプティカルのみをコアキシャルも使用出来るようにしたために
新たにその電源も製作しました。




ノーマルのアナログ回路用オペアンプはJRCのNJM4580のSOPタイプ
11個使用されています。
これですと確かにローノイズですが、スルーレートが5V/μSと遅いため、
ドラムのスネアーやティンパニー、チェンバロの弦を爪で弾く音や琵琶の音が
再現出来ずきつい音になります。

そこでNJM4580を高価ですがテキサス(旧バーブラウン)のOPA2132(スルーレート20V/μS)
に交換しました。
このオペアンプですとトランジェントのきつい音源を苦も無く再現します。





音質は当方のD/Aコンバーターと比較してみますと、
電源の容量と定電圧回路の段数が少ない分甘いですが、
音の細かさと切れはほぼ同等です。

それにDEQ2496特有の色々な機能があるので大変重宝な機器です。


測定用マイク ベリンガーECM8000を用いて
スピーカーと部屋を含めた自動の周波数特性補正が出来ますが、
±10dbを超えた補正を行うときつい音がしてきます。

なぜなら入力信号が
J−POP等はリミッターを使用してデジタルのフルビットまで使用していますので
その信号を
10dbアップしますと完全にクリップ!してしまいいやな音がします。
これはグライコを使用していない時の音源のレベルをレベルメーターで監視すると即座に判別出来ますよ。

高域はツイーターの高域性能や部屋の吸音の関係で減衰しているので
簡単に±10dbの範囲を超えて補正をしてしまいますからきつい音つまりクリップ音がします。
低域も50Hz以下まで補正しますと殆どのスピーカーの低域限界を超えて補正をしますので
同じく簡単に±10dbの範囲を超えて補正をします。

この場合は
入力レベルを10db程低下させると良いですが、そうすると力感が減りS/Nも低下してしまいます。
でもこれはデジタル機器でもアナログ機器でも仕方が無い事です。

このように機器の限界を考えて利用すると良いでしょう。

(限界があることを考えることが出来なくて!文句を言う方が多々ありますね)笑。





周波数特性補正をしないD/Aコンバーターとして聴きますときつい音はしません。